戦後、一度は途絶えかけたこの風習を現代によみがえらせた立役者がいる。昭和40年代後半、海苔の需要拡大を狙って立ち上がった大阪海苔問屋協同組合だ。彼らは道頓堀などでポスターを掲げ、「節分の丸かぶり」をアピールする大々的な販促イベントを展開した。この泥臭くも力強い商業キャンペーンが、大阪市民の心に再び火をつけたのだ。
一方で、本物の味を支えてきたのは職人の技である。1841年創業の大阪の老舗「吉野寿司」をはじめとする寿司名店が作る太巻きは、まさに芸術品だ。焼き穴子、高野豆腐、厚焼き玉子、椎茸煮など、厳選された具材が見事なバランスで調和する。関西の豊かな食文化が凝縮されたその一口は、流行に左右されない本物の凄みを物語っている。