『不屈の男 アンブロークン』において、ルイス・ザンペリーニを執拗に痛めつける収容所の所長「ワタナベ伍長(渡辺睦裕)」役に、世界的ギタリストであるMIYAVIを抜擢したことは国内外で大きな話題を呼びました。俳優経験のなかったMIYAVIの起用には、アンジェリーナ・ジョリー監督ならではの強い意図が込められていました。
アンジェリーナ・ジョリーは、戦争映画にありがちな「ステレオタイプの悪役日本人」を配置することを徹底して拒みました。単なるモンスターとして敵を描くのではなく、繊細さとカリスマ性を併せ持ち、戦争という狂気の構造によって歪められてしまった一人の複雑な人間を描き出すため、圧倒的な存在感を持つMIYAVIに熱烈なオファーを出したのです。
オファーを受けたMIYAVI自身も、当初は祖国を悪く描く映画に出演することへ強い葛藤を抱き、一度は断ろうとしました。しかし、直接対話したアンジーから「これは特定の国を非難する映画ではなく、平和へのメッセージであり、許しの物語である」と熱弁され、その信念に共鳴して出演を決意したと語っています。このエピソードからも、彼女の目的が日本という国家や国民への憎悪では決してなかったことが浮き彫りになります。