幾多の年月を経た現在、キャスト陣が残した足跡はより一層の重みを増している。水谷豊はその後、日本を代表する国民的俳優・映画監督としての確固たる地位を築き上げ、70代を迎えた今もトップランナーとして表現の最前線に立ち続けている。彼が今なお見せる軽妙さと深みのある芝居の根底には、若き日に萩原健一と過ごしたあの濃密な現場の記憶が息づいている。
2019年に惜しまれつつこの世を去った萩原健一の存在は、今もなお多くの後進たちに影響を与え続ける不滅のアイコンだ。岸田今日子、岸田森といった名優たちも鬼籍に入ったが、彼らがフィルムに焼き付けた怪演はデジタルリマスター技術によって鮮やかによみがえり、国内外の映画ファンや若いクリエイターたちの間で再評価の機運が高まっている。
時代がどれほどデジタル化し、整然とした社会になろうとも、彼らが体現した「泥をすすりながらも人間らしく生きる姿」は、現代人の渇いた心に強烈なノックを響かせている。