創作陣の対談やインスピレーションの源泉として言及されるのが、日本映画界を牽引する濱口竜介と、韓国映画界の巨匠ポン・ジュノの存在だ。言葉の端々に漂う人間の微細な感情の揺れをすくい取る濱口竜介のアプローチは、登場人物たちのリアリティ溢れる対話劇に見事に結実している。
一方で、圧倒的なストーリーテリングと社会的テーマ性を両立させるポン・ジュノ的な力強い展開の美学も、作品の底流に息づいている。二人の世界的名監督が切り拓いてきたアジア映画の文脈が重なり合い、観客の感情を揺さぶる新たな表現の領域へと昇華された。