1956年、日本の銀幕史が塗り替わる瞬間が訪れた。実兄である石原慎太郎が芥川賞を受賞した小説『太陽の季節』の映画化にあたり、慶應義塾大学の学生だった弟・裕次郎が脇役の慶応生役でスクリーンデビューを果たす。本人が「映画界に入る気など全くなかった」と後に語った通り、演技の経験など皆無。だが、カメラが捉えたその佇まいは圧倒的だった。
日活株式会社のプロデューサー陣は、一目で彼の持つ天性の素質を見抜いた。配給を開始するや否や、作品は大ヒットを記録。型破りな道徳観と自由奔放な若者を描いたこれらの作品群は「太陽族映画」と呼ばれ、社会的な物議を醸した。しかし、反発が強まれば強まるほど、若者たちの熱狂は加速していく。日本映画界に、まったく新しいスタイルのスターが誕生した瞬間だった。