スマートフォンの画面越しに見る彼女は、非の打ち所がない。育児に追われながらもトレンドの服を着こなし、メイクも完璧。SNSで「憧れのママ」として何万人ものフォロワーを抱える妻を持つ夫たちの間で、ある種の絶望が広がっている。生活感を感じさせない美しさを維持するために、家庭内のリソースがどれほど割かれているか、外からは見えないからだ。
「妻は家の中でも常に『見られること』を意識していました」と語るのは、都内在住の30代男性。家事や育児のリアルな泥臭さはすべて夫に押し付けられ、妻は「可愛い自分」を演出するための時間作りに没頭する。結果として、家庭は温かい安らぎの場ではなく、SNS用のスタジオと化してしまった。この役割の不均衡が、静かに夫婦の絆を蝕んでいく。