「服を着るんじゃない、服を着こなすんだ」——かつてワイドショーの名物コーナーで言い放たれた言葉だ。ただの悪口に見えたコメントの裏には、彼が築き上げた確固たるファッション理論が存在していた。
1980年代、ブランド「FICCE(フィッチェ)」を立ち上げ、ビートたけしをはじめとする時代の寵児たちに強烈なニットウェアを提供したドン小西。あのド派手で立体的なデザインは、当時のアパレル界に激震を与えた。テレビで見せていた辛口な批評も、服の素材感や縫製、シルエットのミリ単位の狂いを見抜くプロの眼力があってこそ成立していたものだ。一見すると過激な物言いも、服に対する並々ならぬ敬意と愛ゆえの喝だった。