日本の出版業界において、「日常系エッセイ」という分野の可能性を大きく広げた功績は計り知れない。中でも名作『今日の人生』は、日常の何気ない出来事をコマ漫画と短文で切り取った、まさにコミックエッセイの至高と言える作品だ。
特別な事件は起こらない。美味しいパンを食べたこと、散歩道で見かけた猫のこと、ふと思い出した昔の記憶。そんな「何でもない一日」が、彼女の手にかかると愛おしいかけがえのない宝物に変わる。活字離れが叫ばれて久しい現在の出版市場において、増刷を重ね続けるロングヒットを記録している事実は、多くの人が真の癒やしを求めている証左と言えるだろう。