物語の根底にある13年前の火災事件について、作中では終盤まで後妻の御手洗真希子(旧姓:渡)が犯人であるかのように描かれていました。彼女が所持していた高級カーディガンやSNSへの投稿など、数々の状況証拠が真希子の放火を示唆していたためです。
しかし、明かされた火事の真相は、家族間のすれ違いと悲しい偶然が重なり合った悲劇でした。実際に火を出してしまったのは、当時中学生だった次男の御手洗真二です。真二は母・真希子が御手洗家から盗み出したバレッタや衣類をこっそり元の家へ返しに行った際、キッチンにあったカレーを温めようとしてコンロの火を引火させてしまいました。パニックに陥った真二はその場から逃走してしまいます。
事件直後に現場を目撃した母の真希子は、不登校気味だった長男の御手洗希一が放火したと思い込み、息子を守るために現場の証拠品を回収して隠蔽工作を行いました。一方で長男の希一は、物欲に憑りつかれていた母・真希子が放火したと誤認し、家族の罪を背負う形で自室に引きこもり続けていたのです。互いを庇い合っていたはずの秘密が、御手洗家と村田家(杏子の実家)の運命を13年間にわたり狂わせることになりました。