本作の最大の引力となっているのが、一度見たら忘れられない個性派揃いの登場人物・キャラクターたちです。主要な顔ぶれを振り返りながら、その関係性の妙を紐解きます。
・トニオちゃん
本作の絶対的主人公。外見はおむつを穿いた頭頂部に毛が一本ある幼児のようですが、年齢・性別・出自のすべてが謎に包まれています。表情の変化は乏しいものの、時折見せる妙に達観した眼差しや突発的な行動が周囲を翻弄。マスコット的な愛らしさと、得体の知れない不気味さが絶妙にブレンドされた唯一無二の存在です。
・周囲の市井の人々(家族・学生・サラリーマンなど)
トニオちゃんの周りを取り巻くのは、ごく普通に暮らす人々です。トニオちゃんを我が子のように世話する大人、学校で見かけて戸惑う女子高生、通勤途中に遭遇するサラリーマンなど、彼らのリアクションは極めて等身大。この「普通の人間たちのリアルな困惑や脱力感」こそが、シュールな笑いを何倍にも増幅させています。
登場人物たちがトニオちゃんの異常性を過剰に騒ぎ立てるのではなく、徐々にその存在を受け入れ、日常の一部として順応していくプロセスには、南Q太作品特有の人間観察の鋭さが光っています。