今回の演出で特筆すべきは、嗅覚と触覚へのアプローチだ。館内を進むと、場所ごとに異なる匂いが鼻をつく。線香の煙が燻るにおい、湿った土の匂い、そしてどこか鉄くさい血の気配。視界が限定される暗闇の中で、鼻腔をくくぐる異臭は妄想を膨らませ、恐怖を何倍にも増幅させる。
さらに、立体音響を駆使したサウンドシステムが挑戦者の耳元で囁きかける。「うしろ……」という低い声が聴こえた瞬間、振り返る度胸のある者は少ない。床の振動や突如足元をかすめる冷たい空気の吹き出しなど、身体全体で恐怖を受け止めざるを得ない仕掛けが隙間なく配置されている。