事件の発端は1998年7月25日夕方、和歌山市園部地区で開催された夏祭りでした。自治会関係者が調理したカレーを食べた住民が次々と激しい嘔吐や腹痛を訴えて倒れ、自治会長ら4名が命を落としました。当初は食中毒が疑われましたが、その後の警察の捜査によって急性ヒ素中毒であることが判明し、無差別大量殺人事件として捜査本部が設置されました。
捜査線上に浮上したのが、元保険外交員だった林眞須美と、元シロアリ駆除業者の夫・林健治氏の家庭でした。林夫妻には以前から多額の生命保険金詐取疑惑が持たれており、自宅や関係先からシロアリ駆除用の高純度なヒ素が発見されたことで、警察は一気に身辺捜査を加速させます。同年10月に保険金詐欺容疑で夫妻が逮捕され、同年12月、林眞須美死刑囚はカレー事件の殺人および殺人未遂容疑で再逮捕されました。
林眞須美の生い立ちを振り返ると、地元・和歌山で育ち、看護学校を卒業後に看護師として勤務。その後、健治氏と結婚して4人の子どもに恵まれました。後に保険外交員へと転身し、知人や夫に保険金を掛けて不当な利益を得る巧妙な手口を身につけていった経歴が、捜査機関側から「冷酷な犯行を行う人物像」として色濃く結びつけられることとなりました。