モンゴル力士の活躍が続く一方で、日本相撲協会が定めた制度的なハードルも存在します。その代表例が「外国人力士枠の制限」です。
日本相撲協会は、伝統文化の継承と日本人力士の育成バランスを保つため、2002年以降「1部屋につき外国人力士は1名まで」とする厳格な受け入れ制限を設けています(※外国籍力士だけでなく、外国出身の日本国籍取得者も含めて1名枠とする解釈が基本)。この狭き門があるからこそ、モンゴル現地での厳しい選抜合宿や相撲留学を勝ち抜いた「超一級のエリート」だけが来日することになり、結果としてモンゴル力士の平均的な強さを押し上げる要因にもなっています。
もう一つの重要な論点が、引退後の指導者資格に関わる「日本国籍の取得(帰化)と年寄名跡(年寄株)の襲名問題」です。
日本相撲協会の現行規程では、力士が引退後に「親方」として角界に残り、後進の指導や部屋を運営するためには日本国籍を保持していることが必須条件となっています。過去には旭天鵬(現・大島親方)や白鵬(現・宮城野親方)、鶴竜(現・音羽山親方)らが日本国籍を取得して親方となりました。
しかし、母国の国籍を離脱することに対する本国の心理的葛藤や、空き名跡の取得難易度、部屋継承を巡る指導体制のあり方など、年寄株襲名を取り巻く課題は依然として議論が続いています。相撲文化の伝統を守りつつ、世界に開かれたプロ競技としての持続可能性をどう確保するかは、現代の大相撲が直面する極めて重要なテーマです。