ラストマッチ直前の控室で繰り広げられた白木葉子の告白シーンは、物語屈指の人間ドラマとして語り継がれています。
ジョーの身体がすでに限界を超えていることを察知していた葉子は、「お願い…行かないで!」と涙を流し、「好きだったのよ 矢吹くん あなたが!」と秘めていた愛を打ち明けます。しかしジョーは静かに微笑み、「世界で一番強い男が 待ってるんだ」とリングへ向かいました。そして試合後、ジョーは自らの愛用したグローブを外し、「もらってくれ」と葉子に託します。これは、男としての不器用で誠実な愛の返答でした。
名匠・出崎統監督が手がけたテレビアニメ『あしたのジョー2』の最終回では、この幕切れがさらに神話的な美しさへと昇華されています。画面が徐々にセピア調の静止画へと変わる出崎監督の代名詞「ハーモニー処理」と、静寂のなかで流れるエンディングテーマが融合し、ジョーの魂が永遠の安らぎに到達したことを詩的に描き切りました。