耳鳴りを訴える方の多くは両耳に症状を自覚しますが、聴神経腫瘍における耳鳴りの最大の特徴は「左右どちらか片耳だけに生じる」という点です。腫瘍が聴神経(蝸牛神経)を物理的に圧迫したり、神経の血流を阻害したりすることで異常信号が発生し、脳に音として認識されます。
患者が訴える音の性質として際立って多いのが、「キーン」「ピー」といった高周波の金属音や電子音です。蝉の鳴き声のような「ジーン」という持続音として自覚されるケースもありますが、いずれも低音の「ボーン」「ゴォー」という響きよりも、高音域の金属的な響きが目立ちます。
また、一般的な疲労や睡眠不足による耳鳴りは数日から数週間で波があり自然に軽快することもありますが、腫瘍由来の耳鳴りは一度始まると数ヶ月から数年にわたって途切れることなく持続する傾向があります。静寂な環境ほど自覚が強まり、就寝前や集中時に強いストレスを感じるようになるのが典型的な経過です。