福岡市内の医療現場から集まったデータを分析した「2026年感染症実態調査報告」によると、この不調の波は特定の変異型アデノウイルスおよび重複感染による呼吸器症状の複合体である可能性が浮上してきた。日本感染症学会理事長などを歴任した感染症学の権威・舘田一博教授は、「通常の季節性ウイルスとは異なり、気管支粘膜への定着性が異常に高く、初期のPCR検査をすり抜けるケースが散見される」と指摘する。
独自の取材で入手した「呼吸器感染症速報」の最新内部データによれば、感染経路の約6割が混雑した通勤電車や飲食店でのエアロゾル感染(微細な飛沫の浮遊)によるものと判明した。発症から数日は自覚症状が乏しく、感染に気づかないまま職場や家庭で病原体を広げてしまうサイレント拡散が、流行を急速に後押ししている。
国立感染症研究所もこの局所的な症例急増を重く見ており、分離株のゲノム解析を進めている。既存の簡易抗原キットでは陰性反応が出やすいため、確定診断に至るまで時間がかかることも現場の混乱に拍車をかけた要因だ。