歯科医院で渡される矯正用エラスティック(顎間ゴム)には、内径(サイズ)や力の強さ(フォース)に応じて多彩なバリエーションが存在し、パッケージには動物や植物のアイコンが印字されていることが一般的です。治療目的によってフックにかける位置や方向が厳密に設計されています。
代表的なかけ方の種類と目的の違いは以下の通りです。
- 2級ゴム(上顎前突・出っ歯の改善):上の前歯付近(主に犬歯など)から下の奥歯(大臼歯)に向かって斜め後方にゴムをかけます。上顎歯列を後方へ牽引し、下顎を前方へ誘導する力を加えます。
- 3級ゴム(下顎前突・受け口の改善):下の前歯(犬歯付近)から上の奥歯に向かって斜め上方へかけます。下顎歯列を後退させ、上顎の前方成長・移動を促すベクトルを生み出します。
- 垂直ゴム(開咬・オープンバイトの改善):上下の特定の歯に対して垂直にまっすぐゴムをかけます。前歯や側方歯が噛み合わず隙間が空いている状態(開咬)を閉じ、上下の接触面を密着させます。
- 交叉ゴム(クロスバイト・鋏状咬合の改善):噛み合わせが横方向にズレて上下逆になっている箇所に対し、上の歯の表側(または裏側)から下の歯の裏側(または表側)へと立体的に交差させてかけ、左右的なズレを補正します。
指示された位置と異なるフックに自己判断でかけてしまうと、意図しない方向に歯が倒れ込み、噛み合わせの崩壊を招くリスクがあります。必ず通院時に歯科衛生士の前で着脱練習を行い、スマートフォンのカメラで正しい装着状態を撮影して保存しておくことが確実な予防策です。