2026年10月期に関してネット上でしばしば見られる誤解の一つに、「世帯視聴率が1桁だったドラマは苦戦した」という短絡的な見方があります。しかし、これはテレビメディアの構造変化を無視した誤った解釈です。
例えば『エルピス—希望、あるいは災い—』の世帯視聴率は全話平均6.3%にとどまりました。しかし、脚本家・渡辺あや氏が6年以上の歳月をかけて企画を温め、冤罪事件とマスメディアの忖度構造というタブーに挑んだ本作は、第60回ギャラクシー賞テレビ部門大賞をはじめ、数々の栄誉ある賞を総なめにしました。テレビ局自身の報道姿勢にすら刃を向ける批評性の高さは、「日本のテレビドラマの最高到達点の一つ」として国内外の批評家から極めて高く評価されています。
また、フジテレビ系水10枠『親愛なる僕へ殺意をこめて』は過激なサスペンス描写から地上波視聴率こそ伸び悩んだものの、見逃し配信では深夜帯に近いエッジの効いた作品としてカルト的な人気を誇りました。このクールは、視聴率という画一的な尺度から解放され、それぞれの作品が明確なターゲット層に対して深い刺さり方を見せたシーズンだったのです。