インターネット上のビジネス論壇考説では、「とにかく即決即断が正義であり、迷う人間は無能だ」という極端な言説が散見されます。しかし、ここには重大な論点のすり替えと盲点が存在します。
第一の誤解は、「熟慮(慎重さ)」と「決断の先延ばし」の混同です。リスクの甚大な戦略的投資や法的なコンプライアンス判断において、多角的な検証を行うことはプロフェッショナルとして当然の責務です。これは明確な「検証項目と期限」を持った生産的な行為であり、単に不安だからと結論を宙に浮かせている「優柔不断」とは根本的に異なります。
第二の誤解は、「判断スピードが速い人は、最初から正解を知っている」という思い込みです。トップリーダーたちの実情を取材すると、彼らが即決できるのは「特殊な直感」があるからではなく、「間違っていたら1秒で修正すればいい」という前提で動いているからに他なりません。意思決定の本質は「1発で当てること」ではなく、「決めた後に素早く検証し、微調整を繰り返すこと」にあります。