シクラメンを購入時の見事な姿のまま春まで咲かせ続けるためには、単なる水やりを超えた積極的なメンテナンスが欠かせない。その核心となるのが「葉組み(はぐみ)」と「花がら摘み」という2つのプロ技術である。
シクラメンは、1枚の葉の付け根から1本の花芽が出るという明確な植物構造を持つ。つまり、葉の数が多ければ多いほど、咲く花の総数も増加する。しかし、自然に繁茂させると大きな葉が中央部を覆い隠し、奥にある小さな花芽に日光が届かず枯死してしまう。そこで不可欠となるのがシクラメンの葉組みのやり方である。
葉組みの手順は以下の通りである。株の中央に密集している大きな葉や内側を向いている葉を、指先で優しく外側へ押し広げ、外側の葉の下へ交差させるように潜り込ませる。逆に、奥深くで発育中の若い花芽を中心部に集めて立たせる。この作業によって球根の中央部に直射日光が当たる状態を作り出すと、休眠していた花芽が一斉に活動を開始し、中央から次々と花が立ち上がる美しい「王冠仕立て」が完成する。この葉組みは1〜2週間に1回のペースで定期的に行うのが望ましい。
次に極めて重要なのが、シクラメンの花がら摘みのコツだ。咲き終わった花や黄色くなった古葉を放置すると、種子作りに無駄なエネルギーを奪われるだけでなく、カビ病の温床となる。処理を行う際は、絶対にハサミを使ってはならない。茎の途中で切断すると残った軸が腐敗し、球根へ病原菌を誘導してしまうからである。正しい方法は、花茎の根元(球根との接合部)を指でしっかりつまみ、軽くねじりながら真上へ引き抜くことだ。的確な力加減で行えば、「プチッ」という小気味よい感触とともに根元から綺麗に取り去ることができる。
併せて、冬の開花期におけるシクラメンの肥料の与え方も花持ちを左右する。次々と花を咲かせるシクラメンは極めて多肥を好む植物である。底面給水鉢の場合は1〜2週間に1回、薄めの液体肥料(規定倍率の2倍程度に希釈したもの)を貯水トレイに添加するか、市販の緩効性固形肥料を土の上に規定量配置する。冬場に肥料切れを起こすと、蕾が途中で黄色く変色して開花せずに終わるため注意が必要だ。