日本を取り巻く食の環境変化を受け、農林水産省は四半世紀ぶりとなる制度の根本的見直しに着手しました。2026年現在の農水行政において主軸となっている3大重要政策について解説します。
1. 食料・農業・農村基本法の抜本改正と法制化
1999年の制定以来、初めて大幅に改定された基本法では、従来の「農業生産の増大」中心の枠組みから、「平時からの食料安全保障の確保」へと明確に軸足が移されました。凶作や輸入途絶などの有事が発生した際、政府が事業者に対して生産計画の変更や出荷指示を行える法的枠組みが整備されたほか、持続可能な食料供給に向けたコスト構造の可視化が義務付けられています。
2. 価格転嫁(コストリフレクション)の仕組みづくり
日本の農業が直面してきた最大の問題は、資材費や電気代が高騰しても農畜産物の販売価格に転嫁できない取引慣行にありました。農林水産省は、食品流通の各段階(生産者・卸売・加工・小売)における適正なコスト形成を促す新法およびガイドラインを策定。生産コストを反映した取引が行われない場合、是正指導や公表を行う厳格な枠組みの運用を進めています。
3. スマート農業の社会実装と集約化
急速に進む農業従事者の高齢化(平均年齢68歳超)と急減に対応するため、自動運転トラクター、ドローンによるピンポイント施肥、AI画像診断を用いた選果システムなどのスマート農業技術の導入支援が急速に拡大しています。小規模農地の集約化(農地中間管理機構の活用)とテクノロジー導入をワンセットで推進することで、労働生産性を従来の約2倍に高める取り組みが各地で本格化しています。