映画監督やプロデューサーたちの間でも、求める役者像に明らかな変化が生じている。あるベテランキャスティングディレクターは、「かつては『華があること』が第一条件だったが、今は『どれだけ観客に想像させる余白があるか』が重要視される」と明かす。
整った容姿や器用な演技力よりも、カメラが回っていない瞬間の佇まい、あるいは光と影の境界線に立ったときに見せる表情。そうした、マニュアル化できない天性の「翳り」を持つ役者が、オーディションで強い光を放つ時代になった。結果として、キャスティングシートには、独特の静けさを纏った名前が並ぶことになる。