一般的に、海の中で泳いでいる、あるいは陸の上を歩いている生きたカニは「匹(ひき)」と数える。生物学的な分類や、生き物としての個体を指す場合はこれが標準だ。しかし、漁獲されて市場に並んだ瞬間、その単位は「杯(はい)」へと変化する。この変化の瞬間こそが、多くの消費者を混乱させる最初のハードルとなっている。
豊洲市場のベテラン仲卸業者はこう語る。「水槽で動いている時は『匹』ですが、氷締めにして出荷準備が整ったものはすべて『杯』と呼びます。商品としての価値や、食材としての扱いになると単位が変わる。これは長年培われてきた業界の暗黙の了解です」。