結論から述べると、痛む後頭部そのものを強くマッサージする行為は逆効果であり、症状を悪化させる最大の要因です。首こりや肩こりからくる頭痛と同じ感覚で「凝っている場所を指圧すれば血流が良くなって治る」と誤解する人が後を絶ちませんが、後頭神経痛のメカニズムは筋肉疲労とは根本的に異なります。
後頭神経痛は、頸椎(首の骨)の間から頭頂部へ向かって伸びる末梢神経が、周囲の筋肉の緊張や骨の歪みによって圧迫・牽引され、神経自体が過敏になって引き起こされる神経痛です。大後頭神経は、首の後ろにある僧帽筋などの腱膜を貫通して頭皮の表面近くへと走行しています。この神経の出口(圧痛点)を力任せに押したり揉んだりすることは、傷口を直接叩くようなものであり、神経線維周囲の局所的な浮腫(むくみ)や炎症を加速させてしまいます。
治療の現場に立つ専門医や理学療法士への取材でも、「後頭部の激痛をほぐそうとして強くグリグリと揉みほぐし、数時間後に触れることすらできないほどの激痛になって駆け込んでくる患者が非常に多い」という証言が目立ちます。ネット上で囁かれる「痛い部分を揉み潰せば治る」という言説は解剖学的に完全な誤謬であり、自己流の強揉みはやってはいけないことの筆頭に挙げられます。