吉祥寺のパスタ文化を語る上で欠かせないもう一つの存在が、かつて系列店として吉祥寺駅南口方面に展開していた「ヒラタパスタ」です。同じ運営母体でありながら、両店には明確なコンセプトの差異が存在していました。
スパ吉が「カウンター主体でストイックに生パスタの麺と濃厚ソースの融合を突き詰める“街のパスタスタンド”」であったのに対し、ヒラタパスタは「鎌倉野菜をふんだんに使った前菜サラダや、落ち着いたテーブル席でワインとともに楽しむトラットリア寄りスタイル」を展開していました。麺の個性においても、スパ吉が力強い太麺とガツンとくるソースのパンチを前面に押し出すのに対し、ヒラタパスタはソースのバリエーションと彩り豊かな具材の調和を重視していたのが決定的な違いです。
ヒラタパスタのブランドは幕を閉じましたが、その「素材へのこだわり」と「丁寧な仕込みの精神」は現在のスパ吉にも色濃く受け継がれています。野菜の甘みや出汁の深みが際立つ限定メニューの数々は、かつてのヒラタパスタ時代に培われた知見が見事に昇華されたものと言えます。