ディナーショーの真骨頂は、アリーナ公演とは一線を画す濃密な選曲構成にある。稀代の作詞家・松本隆が手がけた珠玉の初期ナンバーから、アコースティックアレンジで披露される名曲の数々は、聴く者の記憶を鮮やかに呼び覚ます。「赤いスイートピー」の可憐なメロディが会場全体を包み込み、冬の情景に寄り添うように響き渡る瞬間は圧巻だ。
さらに、自身が作詞作曲を手掛けた珠玉のバラード「あなたに逢いたくて〜Missing You〜」が披露されると、会場のボルテージは最高潮に達する。昭和から平成、そして令和へと受け継がれてきた黄金期の歌謡曲の美しさと、大人の深みを増したボーカルワークが融合したセットリストは、一夜限りの芸術作品と呼ぶにふさわしい。