親衛隊の歴史を紐解くと、その始まりは1970年代前半、熱狂的な男性ファンが自然発生的に集まった私設応援団に遡る。とりわけ三人組グループ「キャンディーズ」の登場は決定打だった。ステージ上の彼女たちを守り、客席から盛り上げる独自の応援スタイルが確立され、やがてその熱狂は全国津々浦々へと飛び火していく。
彼らが自らに課したルールは極めて厳格だった。飲酒・喫煙の禁止はもちろん、私的な追っかけの制限、さらには「アイドル本人に触れてはならない」「私語を交わしてはならない」といったストイックな規律が徹底されていた。ファンでありながら、個人的な見返りを一切求めない。清廉潔白な忠誠心を行動で示すことこそが、隊員の誇りだったのだ。
やがて各グループの抗争やトラブルを防ぎ、応援の秩序を維持する目的で「全日本親衛隊連盟」をはじめとする大規模な統括組織が誕生する。本部から地方支部へと指令が伝達され、コンサート会場の警備や入場整理を自発的に担うなど、その組織力は並の企業を凌駕するほどだった。