ポールが折れるのではないか――初めて間近で跳躍を見る者は誰もがそう戦慄する。だが、その劇的な「しなり」こそが記録更新の心臓部だ。現代のポールは、柔軟性に富むグラスファイバー層と、軽さと圧倒的な反発弾性を持つ炭素繊維(カーボンファイバー)を幾重にも巻き重ねて作られている。助走の衝撃を吸収しながら最大90度近くまで曲がり、蓄えた弾性エネルギーを一気に解放することで、ジャンパーの身体を空へと弾き飛ばす。
素材の積層パターンや樹脂の配合比率は日々改良が重ねられており、曲がりやすさを示す「フレックス指数」や許容体重の精度は劇的に向上した。選手の走力や踏み切り角度、さらには当日の風速に合わせてミリ単位で最適な硬度を選び出すプロセスは、まさに精密機械のチューニングそのもの。ポールの反発スピードと選手の空中動作が100分の1秒単位で一致したときだけ、信じられない跳躍角が生まれる。