現在の音楽シーンは、過去のあらゆる時代のサウンドが瞬時に消費され、混ざり合うストリーミング中心の世界だ。その中で、2010年代前半のボカロインディーシーンが持っていた「薄暗い自室で作られた音楽」のフィーリングが、現代の若者の孤独感と強くシンクロしている。
過剰に最適化されたSNS社会の中で、人々は常に「正しさ」や「完璧さ」を演じることを求められる。だが、彼の音楽に横たわっているのは、不完全さへの愛おしさだ。歪んだギターのトーン、少しつっかえるようなリズム、センチメンタルなメロディライン。洗練されすぎていない生の質感だからこそ、アルゴリズムの海を漂う人々の疲れた心にすっと染み込んでいく。