かつて世界の工場と持て囃された地域からの生産拠点移転は、いまや「リスク分散」の域を超え、「生存戦略」の次元に入った。ベトナム北部のハイフォンやバクニンには、半導体用基板や封止材を手がける日本の中核部材メーカーが集結。ハノイ近郊の開発エリアでは、台湾や米国の巨頭と連携した日系エンジニアリング企業の姿が日常の風景となっている。
最前線で指揮を執る日系電気機器メーカーの技術幹部は、「これまでの下請け的な工場進出とは完全に質が異なる。ベトナムの若手エンジニアの数学的素養と設計スキルの高さは、日本の現場にとっても強烈な刺激になっている」と語る。かつての「安価な労働力」を買いに行く投資から、世界最高水準の精密加工と実装技術を共同で生み出すパートナーシップへの転換。ハノイ周辺のシリコンラインは、東南アジアにおけるハイテク供給網の要として、確固たる地位を築きつつある。