長引く咳の正体を探る上で、最も重要な手がかりとなるのが「咳の性質」と「出現する時間帯・シチュエーション」です。自身の咳がどのような特徴を持っているかを観察することが、診断への最短ルートとなります。
まず注目すべきは、痰を伴わない「乾いた咳(乾性咳嗽)」か、ゴホゴホと痰が絡む「湿性咳嗽」かという点です。コンコンという乾いた咳で熱なしの原因として圧倒的に多いのが咳喘息やアレルギー性咳嗽、そして降圧薬(ACE阻害薬)などの薬剤性咳嗽です。一方、咳で痰が絡むのに熱なしという状態であれば、慢性気管支炎、副鼻腔気管支症候群、気管支拡張症などが疑われます。副鼻腔炎(蓄膿症)によって生じた粘液が喉の奥に垂れ込む「後鼻漏(こうびろう)」によって、熱がないまま湿った咳が何週間も誘発される症例も頻発しています。
次に警戒すべきは、咳に加えて熱なしでも息苦しいと感じる症状です。気道が狭窄して空気の通り道が制限されている証拠であり、咳喘息が悪化して本格的な気管支喘息へ進行しているか、心不全や間質性肺炎といった重篤な心肺疾患が水面下で進行しているシグナルです。また、夜間に咳が止まらない理由としては、就寝中に副交感神経が優位になって気管支が自然に収縮することに加え、布団のダニ・ハウスダストの吸入、横臥位による胃酸の逆流が重なることが挙げられます。明け方の激しい咳込みで目が覚めるパターンは、咳喘息に極めて典型的な特徴です。