お笑いの世界において、生理現象は両刃の剣だ。一歩間違えれば単なる不快感や下品さに傾き、視聴者を引かせてしまうリスクを孕んでいる。だが、ナイトスクープの「おなら回」が30年以上もの間、一度として滑ったことがないのはなぜか。そこには精緻に組み立てられたドキュメンタリー構造が存在する。
第一に、依頼者側の「大真面目さ」だ。本人は大真面目に「この悩みを解決したい」「自分の特技を検証してほしい」と番組に手紙を寄せてくる。冗談や狙ったお笑いではなく、本気の熱量がベースにあるからこそ、見ている側は嫌悪感を抱かない。
第二に、現場に派遣される探偵の立ち位置である。探偵は依頼者を決してバカにしない。真剣に向き合い、時には過酷な(そしてあまりにも下らない)実験に一緒に汗を流す。この「真剣な大人たちがバカなことに全力投球するギャップ」が、視聴者のツボを直撃するのだ。