朝起きた際に突然の回転性めまいに見舞われた場合、初日の出勤は見合わせ、仕事を休む判断を下すのが鉄則です。「横になって少し休めば出社できるのではないか」と甘く見積もるケースが散見されますが、良性発作性頭位めまい症の急性期は、頭の向きを変えるたびに猛烈なめまいと自律神経反射による悪心・嘔吐が誘発されます。
この病気の正体は、内耳の「卵形嚢(らんけいのう)」から剥がれ落ちた炭酸カルシウムの微粒子である耳石が、回転運動を感知する「半規管(主に後半規管)」の中へと迷い込むことで起こります。頭を傾けたり寝返りを打ったりするたびに管内で耳石が動き、内リンパ液を過剰に揺らして脳へ誤った回転信号を送るため、激しい眼振(眼球の痙攣的な揺れ)とともに「周囲が猛スピードで回っている」ような錯覚が生じるのです。
出勤を控えるべき医学的理由は主に3点あります。第1に、視界がブレて足元がおぼつかず、駅のホームや階段、歩道での転倒・転落リスクが極めて高いこと。第2に、脳梗塞や小脳出血といった命に関わる中枢性めまいとの鑑別がまだついていない危険性。第3に、職場で嘔吐やパニック状態に陥った場合、かえって同僚や取引先に多大な負担と心配をかけることです。
医療機関へ向かう際の「耳鼻咽喉科 めまい 受診目安」としては、以下を基準にしてください。もし「手足のしびれ」「呂律が回らない」「物が二重に見える」「意識が遠のく」といった神経症状を伴う場合は、耳ではなく脳の疾患が疑われるため、一刻を争う脳神経外科や救急要請が必要です。一方、「特定の頭の位置で数十秒から1分程度激しく回転し、静止すると落ち着く」「耳鳴りや難聴は伴わない」という状態であれば、耳鼻咽喉科を迷わず受診してください。