天日干しとは、文字通り直射日光(太陽光)と屋外の自然風を利用して洗濯物や寝具、食品などを乾燥させる手法を指します。太陽から放射される紫外線と赤外線(熱エネルギー)、そして大気の対流が組み合わさることで、湿気を素早く飛ばし、表面に付着した雑菌の増殖を抑える強力な作用を持ちます。
これに対して「陰干し」は、直射日光を遮った風通しの良い日陰で乾かす方法です。両者の決定的な違いは、紫外線による刺激の有無に集約されます。
日光に含まれる紫外線には強い殺菌作用がある反面、繊維の分子結合を破壊するエネルギーも秘めています。シルクやウールなどの動物性天然繊維、ポリウレタンなどの高機能合成繊維は、紫外線を浴びると硬化や黄変、伸縮性の喪失を起こします。そのため、衣類の洗濯表示で「陰干し指定」がなされているアイテムを天日干しに晒すのは厳禁です。一方、綿(コットン)や麻(リネン)のような強靭な植物性繊維は、天日干しの恩恵を最も受ける素材といえます。
また、天日干しを終えた洗濯物から立ち上る、いわゆる「太陽の匂い」の正体についても科学的なメスが入っています。長年「ダニの死骸の臭い」などと揶揄される都市伝説もありましたが、生活臭研究や繊維製品の揮発成分分析によると、綿繊維にわずかに残った皮脂成分や洗剤の微細な残留物が、日光の熱と紫外線によって光酸化分解され、アルデヒドやケトン、アルコールなどの微量な芳香成分へと変化したものであることが判明しています。決して不衛生な臭いではなく、日光が繊維表面で反応を起こした化学的な痕跡なのです。