ファンの間で語り継がれる最大のトピックが、「機材解放席は実はアリーナ席やステージ至近の神席ではないか?」という期待です。この噂の真偽を結論から言えば、「超良席(神席)に化ける確率は十分に存在するが、すべてが良席とは限らないハイリスク・ハイリターンな座席」というのが現場取材から導き出された冷徹な事実です。
具体的に、どのような座席が「神席」と呼ばれるのか、典型的な2つのパターンが存在します。
第1のパターンは、「アリーナ中央・PA卓(音響・照明コントロールブース)の真横または直後」です。巨大コンサートにおけるPA卓は、音響エンジニアが会場全体のサウンドバランスを最終調整する「音の特等席」であり、演出ディレクターが視覚効果を全体俯瞰するセンターライン上に設置されます。当初は巨大な機材ボックスやスタッフ動線として抑えられていたエリアの一部が解放された場合、ステージ真正面の unobstructed view(遮るもののない視界)と、アーティストの意図した完璧なサウンドクオリティを同時に享受できる、客席内屈指のプレミアシートに化けます。
第2のパターンは、「メインステージ左右の最前ブロック(ステージサイド席周辺)」です。スピーカータワーや照明トラスの死角になる恐れから当初は除外されていたものの、実際の立ち位置次第で演者が手を振れば届きそうな距離になるケースです。SNS上の生々しい証言でも、「一般販売で落選し、前日に確保した機材解放席がメインステージ真横の3列目だった。メンバーが袖にはける際の素の表情まで肉眼で確認できた」という報告が散見されます。
しかし、裏を返せばリスクも同居しています。アリーナ席後方で前の観客の身長によって視界が完全に埋もれてしまうケースや、ドーム規模で大型カメラクレーンが激しく旋回し、サビの決定的な瞬間ごとに視界を遮られる事例、あるいは巨大なウーファー(低音スピーカー)の真横に位置し、終始耳をつんざく重低音の振動に耐えなければならない環境も存在します。「何が当たるかわからないガチャ要素」を内包している点こそが、機材解放席の本質と言えます。