インターネットの掲示板やSNS、動画プラットフォームを検索すると、「画面の枠を強くつまむと線が消える」「昔のブラウン管のように側面を小突くと直る」「ジップロックに入れて冷凍庫で冷やすと一時的に戻る」といった民間療法のような裏技が拡散されています。これらに対して、電子回路設計の技術者や修理のプロフェッショナルは「致命的な二次災害を招く極めて危険な行為」と一様に警鐘を鳴らしています。
確かに、ベゼル(画面の枠)を指で強く圧迫すると、浮き上がっていたフレキシブルケーブルの端子が一時的にガラス基板の電極に触れ、線が消えたように錯覚することがあります。しかし、これは剥離しかけている微細な導電性接着剤(ACF)を不規則に押し潰しているに過ぎず、数時間後には周囲の正常な接点まで巻き込んで完全に剥離し、修復不能な帯状ノイズへと悪化します。
また、温度変化によって金属を収縮させようとする「冷却技」は、端末内部に急激な結露を生じさせます。基板上の数ミリ間隔のコンデンサやプロセッサに水滴が付着した瞬間、主基板がショートして電源すら入らなくなり、最悪の場合はバッテリーの発火リスクすら招きます。ネット上の真偽不明な応急処置を鵜呑みにすることは、数万円で済んだはずの修理代を「端末全損による数十万円の損失」へと跳ね上げる自滅行為に他なりません。