生地が思い通りに膨らんでいない時、それが「まだ発酵の途中(発酵不足)」なのか、それとも「発酵のピークを過ぎてガスが抜けてしまった(過発酵)」なのかを正確に識別できなければ、適切なリカバーは行えません。この過発酵と発酵不足の見極め方を誤ると、打つべき手が正反対になってしまいます。
見極めの基本は「フィンガーテスト」と「匂い」です。人差し指の第二関節まで強力粉をまぶし、生地の中央に垂直にそっと差し込んで引き抜きます。指の跡がそのまま綺麗な円形でキープされれば発酵良好の合図です。押し戻されて穴が塞がる場合は発酵不足、穴の周囲がシューッと音を立ててしぼみ、生地全体が陥没する場合は過発酵と診断できます。また、生地からツンとする酸臭や強いアルコール臭が漂っている場合は、過発酵が進行している決定的なサインです。
もし、膨らみが足りないからといって発酵不足のまま焼くとどうなるのでしょうか。現場の実験検証によると、オーブンの熱に入った生地は十分に膨張できず、焼き上がりは表面がゴツゴツと裂け、色はくすんだ白っぽさ、あるいは異様なテカリを帯びます。断面をカットすると気泡が潰れた「生焼けの団子」のような極めて重い食感となり、小麦粉の粉っぽさとネチネチとした粘り気が口の中に残る、極めて口当たりの悪いパンに仕上がってしまいます。
各状態における特徴と影響、推奨される現場アクションを以下の比較表にまとめました。