フランスの食文化において、店舗の形態と職人のライセンスは明確に区別されています。この違いを把握すると、街のベーカリーの看板を見る視点が大きく変わります。
ブーランジェリー(Boulangerie)は「パン屋」を指し、自店で粉から生地を仕込み、発酵・焼成を行う国家資格を持つパン職人(ブーランジェ)が営みます。主食となるバゲットやカンパーニュなどの食事パンが主力商品です。
対してパティスリー(Pâtisserie)は「洋菓子店」を指し、菓子職人(パティシエ)が華やかな生ケーキやタルト、ショコラ、焼き菓子を手がけます。
では、ヴィエノワズリーはどちらの管轄なのでしょうか。結論から言えば、「両方で扱われるが、軸足はブーランジェリーにある」というのが実情です。発酵管理や大規模なオーブン設備が必要なため、伝統的にはブーランジェの仕事とされてきました。しかし、折り込みバターの繊細な温度管理や見た目の造形美はパティシエの領域にも重なるため、名門パティスリーが朝の目玉商品として最高峰のヴィエノワズリーを焼き上げることも珍しくありません。