医療従事者側の客観的基準と、当事者が現場で直面する主観的苦痛の間には、しばしば大きな温度差が存在します。大手Q&Aサイト(Yahoo!知恵袋や発言小町)や妊娠・育児コミュニティアプリに投稿された膨大な相談データを調査すると、妊婦たちが抱える特有の苦悩が浮き彫りになります。
ある20代後半の初産婦は、匿名掲示板において当時の心境を次のように生々しく綴っています。
「妊娠7週目に入った頃、トイレに行くたびに下着から魚のような脂っこい生臭さが漂い、つわりの吐き気と相まって洗面所でうずくまる日々でした。職場でも『隣の人に匂っているのではないか』と恐怖で仕事に集中できず、1時間に1回ナプキンを替え、ウェットシートで何度も強く拭き取っていました。健診で医師に打ち明けたところ細菌性膣症と診断され、処方された膣錠を数日使ったら嘘のように匂いが消えました。もっと早く恥ずかしがらずに相談すればよかったです」
また、妊娠初期 陰部の痒みと異臭を同時に併発し、夜も眠れぬパニックに陥るケースも多発しています。特に「カンジダ膣炎」と「細菌性膣症」の識別がつかないまま、ネット上の断片的な情報を信じ込み、自己判断で市販のデリケートゾーン用かゆみ止め軟膏を塗りたくった結果、接触性皮膚炎(かぶれ)を併発して外陰部が大きく腫れ上がってしまったという報告は後を絶ちません。
こうした実態から見えてくるのは、妊娠初期 おりもの 匂いの変化に対する強烈な「恥の意識(スティグマ)」です。多くの女性が「自分が不潔にしているからではないか」という不合理な自責の念にかられ、医療機関への受診をためらい、結果的に誤った自力対処で病態をこじらせてしまうという悪循環が現場で繰り返されています。