「神の杖」というコンセプトは、単なる空想ではなく冷戦期の軍事研究に端を発しています。1950年代、ボーイング社の研究員でありSF作家でもあったジェリー・パーネル氏が提唱した「プロジェクト・ソア(Project Thor)」がその原点です。
その後、2000年代初頭にアメリカ空軍が発表した戦略文書「トランスフォーメーショナル・フライト・プラン」の中で、将来的な宇宙空間からの精密打撃兵器システムとして再びキネティック爆撃の概念が盛り込まれ、メディアを通じて「神の杖(Rods from God)」の通称で広く知られるようになりました。
国際法上の位置づけも注目に値します。1967年に発効した「宇宙条約(宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約)」第4条では、軌道上に核兵器および大量破壊兵器(化学兵器・生物兵器)を配備することが明確に禁止されています。しかし、「神の杖」は単なる金属塊の落下による物理的衝撃を利用する通常兵器であるため、条約の文言上は禁止対象から外れるグレーゾーンの宇宙兵器として議論の対象となってきました。