ふたりが離婚を選んだ最大の理由は「子育てのひと段落」だった。3人の娘を育て上げ、親としての責務を全うした末に出した結論。
この理由は、少子高齢化とライフスタイルの多様化が進む日本社会において、大きな共感を呼んだ。「子供が育ち切ったら、自分の人生に戻る」。それは決してネガティブな諦めではなく、お互いの後半生を尊重し合うための肯定的な選択肢として映ったのだ。長年連れ添った夫婦が、憎しみ合うことなく「最高のビジネスパートナー」あるいは「良き友人」のようなフラットな関係へと移行する。彼らが提示したモデルは、世間の熟年離婚に対するネガティブなイメージを塗り替える契機となった。