災害時に命を落とす赤ちゃんの問題は、建物損壊や津波による直接死にとどまらない。むしろ問題の本質は、発災から数日から数週間の間に発生する「災害関連死」にある。大人の身体構造とは異なり、乳幼児は体温調節機能が極めて未発達であり、脱水症状や低体温症に陥るスピードが大人とは比べものにならないほど早い。
さらに、避難所に届く支援物資の「ミスマッチ」も致命的だった。アレルギー対応粉ミルクや液体ミルク、小児用アタッチメントの不足は、過去の大震災で何度も繰り返されてきた課題だ。救援物資の段ボールが山積みになる避難所の隅で、赤ちゃんに必要な安全な水分と栄養が届かないという「物流の断絶」が、小さな命を静かに追い詰めていった。