それは、あまりにも突然の出来事だった。昨日まで普通に学校に通い、友達と笑い合っていた日常が、ある日を境に一変する。体に力が入らない。手足が思うように動かない。10代前半の少女にとって、その恐怖は計り知れないものだったろう。
ギラン・バレー症候群は、筋肉を動かす運動神経が障害され、四肢に力が入らなくなる病気だ。発症頻度は10万人に1〜2人とされ、原因は未だ完全には解明されていない。多くは風邪や胃腸炎などの感染症の後に発症する。急速に症状が進行し、重症化すると呼吸不全に陥ることもある恐ろしい病だ。彼女を襲ったのは、まさにこの急激な身体の崩壊だった。