半世紀以上にわたり、日曜のお茶の間に笑顔を届け続けた名物番組を勇退した時、世間は一つの時代の終焉を感じた。しかし本人にとっては、これこそが真の落語家としての第二の幕開けだった。ABCテレビのスタジオをあとにした師匠が回帰したのは、原点である寄席の空間だ。
2026年の現在、吉本興業のフラッグシップ劇場であるなんばグランド花月を中心に、全国各地の出番をこなす多忙な日々が続く。楽屋に密着すると、出番の直前までネタ帳を開き、現代の社会情勢や客層の雰囲気に合わせて細かなセリフを修正する姿があった。かつて番組内で見せた豪快な転倒パフォーマンスの裏には、こうした緻密な計算とたゆまぬ努力が常に隠されていたのだ。