ネット上で時折目にする「自称原作者」という言葉は、実は大きな誤解と歪曲から生まれたものだ。『海猿』の著作権を正当に保有している漫画家の佐藤秀峰氏が、メディアやテレビ局の不躾な対応に対して声を上げた際、一部のアノニマスなネットユーザーが意図的に貶める意図で「自称」と揶揄したのが発端とされている。
実際のトラブルは、作品の商業的成功の裏で着実に進行していた。フジテレビを中心とする映像制作チームとの間で、事前対話のない関連本の出版や、アポなし取材によるプライバシー侵害など、クリエイターに対する敬意を欠いた事象が相次いだのだ。これに対し佐藤氏は著作者としての権利を主張し、契約更新を拒否。その結果、一時期は作品のテレビ再放送やDVDの二次利用が全面的にストップする事態へと発展した。
さらに、当時の連載元であった小学館との関係性においても、著作者への事前相談や契約内容の透明性を巡って深い溝が生じていた。クリエイターが自らの権利を守るために正当な言論を展開したにもかかわらず、それが巨大メディアの力関係の中で「原作者のわがまま」「自称」というニュアンスにすり替えられて拡散したことこそが、このトラブルの最も罪深い真相と言える。