バックネット裏にズラリと並ぶプロのスカウト陣。彼らが掲げるスピードガンとビデオカメラの群れは、いまや彼が登板する試合の風物詩だ。しかし、彼らが口を揃えて称賛するのはスピードガンの数字ではない。
「変化球の精度、カウントの作り方、ピンチでのギアの上げ方。どれをとってもすでに完成されている」。あるセ・リーグ球団のベテランスカウトは、溜息交じりにそう語った。直球と同じ腕の振りから繰り出されるスライダーとチェンジアップは、見分けがつかない。カウントを整える球と奪三振を狙う球の描き分けが完璧であり、試合終盤でも球威が衰えないスタミナも兼ね備えている。