2014年8月、島野製作所は東京地方裁判所にAppleを提訴しました。請求内容は、バネ入りピン端子に関する特許権侵害の差し止めおよび約100億円にのぼる損害賠償請求です。さらに特筆すべきは、特許問題だけでなく独占禁止法が禁じる優越的地位の乱用や下請法の精神を踏みにじる不公正な取引手法を公の場で正面から告発した点にありました。
訴訟において島野製作所側は、Appleが取引上の優位な立場を悪用し、以下の行為を行ったと主張しました。
- 製品の設計・製造ノウハウを他社(アジア系サプライヤーなど)へ開示させ、同一部品の競合製造を強要したこと
- 合意のない大幅な値下げや、過去の納入分に対する不当なリベート要求を突きつけたこと
- 要求を拒否した途端、発注数量を激減させて経営に打撃を与えたこと
対するApple側は、強固な弁護団を組織して徹底抗戦を展開。契約条項の解釈の違いや特許の有効性を巡って真っ向から対立し、双方が提出した証拠資料は膨大な量に膨れ上がりました。日本の司法の場で、GAFAの一角を占めるメガテック企業の調達プロセスのブラックボックスがここまで赤裸々に検証された例は他にありません。