圧倒的なスピード感と痛烈な人間ドラマを両立させたのは、メガホンをとった江口カン監督と、脚本を手掛けた金沢知樹の緻密な手腕である。実力派の制作陣がタッグを組み、従来の枠組みを大胆に打ち破るストーリーテリングを展開した。
本作は一目見れば本格的なスポーツドラマでありながら、本質的には人間の業と再生を描く骨太なヒューマンドラマである。差別や貧困、家庭の崩壊といった現代社会のダークサイドを正面から見据えつつ、泥にまみれながらも自らの足で立つ人間の尊厳を力強く描き出した。テンポの良い映像編集と生々しいダイアローグが相乗効果を生み、観る者の感情を揺さぶり続ける。