京都市という広大な自治体の中にありながら、真の「京都人」として認められる領域は実に狭小である。平安京の禁裏に近い洛中こそが至高であり、それ以外の地域はどれほど歴史が古かろうと「洛外」あるいは「田舎」として扱われる場面が少なくない。この洛中洛外の境界線に横たわる厳格な選別意識こそが、街の秘められた排他性を育んできた。
伝統とブランドを死守するための「一見さんお断り」という不文律。それは相次ぐ戦乱や政変をくぐり抜ける中で研ぎ澄まされた、庶民の自衛本能でもあった。だが、その内向きなプライドは、時に「洛外」居住者や他県からの移住者との間に高い心理的障壁を作り出す。