布袋が山下のプロデュースを手がけたことで、彼女の音楽性はさらに洗練されていった。特に『こっちをお向きよソフィア』や『SINGLE』といった楽曲は、布袋の卓越したポップセンスと山下のボーカリストとしての表現力が奇跡的なバランスで融合した傑作だ。単なる「夫婦の共同作業」という生ぬるい言葉では片付けられない、剥き出しの才能のぶつかり合いがそこにはあった。
だが、音楽での完璧な調和が、必ずしもプライベートの平穏を約束するわけではない。スタジオでの緊張感はそのまま家庭へと持ち込まれ、二人の関係は徐々に摩耗していった。クリエイター同士だからこそ理解し合える深さと、クリエイター同士だからこそ許し合えないエゴ。その狭間で、彼らの関係は少しずつ軋み始めていく。